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2015年12月19日

【特別対談】銘苅淳×西村和彦part1

ハンガリーでプレーする銘苅淳選手を追ったテレビ番組『ノンフィクションW 孤高の日本人得点王・銘苅淳 ~欧州で拓くハンドボールの未来~』が、来年の1月16日土曜日13時から、WOWOWプライムで放送されます。

予告編はこちらから

2015年4月から12月まで、約9ヵ月にわたって銘苅選手に密着したこの番組でナレーションを務め、今や芸能界一の熱血ハンドボーラーと言っても過言ではない俳優の西村和彦さんと、銘苅選手の対談の模様を3回にわたって特別公開します。

 

1

 

「地区大会・全国大会優勝の、その先のビジョンを見せてあげたい」

 

銘苅選手(以下、銘苅)「西村さんがあちこちでハンドボールの活動をされていることは存じあげていますよ」

西村さん(以下、西村)「ホントですか!?」

銘苅「HC市川にも行ってますよね?」

西村「千葉のHC市川で、僕、小学生のコーチをやっているんですよ。」

銘苅「あ、コーチで入ってるんですね! だからですか。西村さんに教えてもらったという話を聞きました」

西村「そうなんですよ。今年からコーチに昇格して、ベンチに入ってます。子どもたちに、僕ははっきり言って技術的なことは伝えられないんですけど、ちゃんと監督…僕、マスターズのチームに入ってるんですけど、マスターズのチームメートが監督なんですよ」

銘苅「そうですよね。僕も去年1回お会いして、イベントをしたりとかして」

西村「そうです。その監督やほかのコーチが技術的なところは教えています。僕は、もう彼らになにが伝えられるかって言ったら、やっぱり『やることの楽しさ』ということと『気持ちで負けない』ということですかね。技術的なことというよりは、精神面! 一番教えたいことっていうのは『続けていくことの楽しさ』」

銘苅「そうですね」

西村「やっぱりやりたくてもやれない子どもたちもいますし。僕みたいに、高校の時に指導者に恵まれなかった…指導者がいなかったので、自分たちですべてしなきゃいけないっていうのを、自分なりに勉強したり、見れるものって言ったらNHKのスポーツニュースくらいなものでした。だから、今、銘苅さんがやってらっしゃる活動、ブログだったり、インターネットを介して、自分のトレーニング道具ひとつにしろ、フィジカル強化の方法とかを紹介されてるじゃないですか」

銘苅「はい」

西村「そういうのは本当に助かると思うんですよね」

銘苅「僕のブログなんか、まだまだ認知度は低いですけど」

西村「そうですか? 僕らは結構見てます」

銘苅「コアなコアな本当に熱心な方にご覧いただいてます。ヨーロッパのことについて知りたい! とか。子どもたちって県大会で優勝したいとか全国制覇というのが一番で、日本代表、その先の世界でっていうことまでなかなか結びつかない。だから、そういう狭い世界というのも打破していきたいって思っています。だから、僕が海外でやってるうちは、こっちの情報を発信したいな、と思いますけどね。ヨーロッパならではのことを」

西村「その通りですね。僕、地方にドラマとか映画のロケでいろんなとこに行った所に、ハンドボールウェアとボールとシューズは必ず持っていってます」

銘苅「(笑)」

西村「空き時間にはチームメートの横のつながりで、どこかしら(チームを)紹介していただいて練習させていただいているんですけど、銘苅さんみたいに外でやっている人、海外でやっている人がいるんだよっていうのを知らない子たちが本当に多いんですよ!」

銘苅「そうなんですよね。自分の周りしか知らない。日本代表(の選手を)知ってる人って尋ねたら、みんな知らないと思いますよ、子どもたち。小学生も中学生も」

西村「子どもたちもやっぱり、小・中・高・大とやって、『うーん、そのあとどうしようかなぁ。実業団行こう、日本リーグ行こう』で、その先が見えてないんですよね。ビジョンがね」

銘苅「ないですもんね。ホントに」

西村「その先に、海外に行こうとか、これで飯を食えるんだっていう実績を残してる人たちをちゃんとアピールするべきだと。それには、もっとそれをインフォメーションして世間に知らしめなければいけないと思います。いかんせん、まだ日本においてはハンドボール自体がマイナーなイメージが強いので」

銘苅「そうですね」

西村「子どもたちにハンドボールの楽しさを伝えることが大切。僕、今なんで続けてるのかって、もう来年50歳になるんですけど」

銘苅「50歳ですか!(笑)」

西村「なんでやっているかって言ったら、やっぱり口だけじゃダメなんですよね。やって見せるのもそうだし、この年でもまだ楽しめるんだよ! 生涯スポーツなんだよ! ということを、やっぱり子どもたちにも伝えたい。この前ある大学に行ったのですが、そこのキャプテンが僕が帰ったあとで、メッセージを残してくれて、『西村さんがあの年まで続けているということは、自分たちにとってもありがたさと自信になる』って言ってましたね」

銘苅「そうですね」

西村「『あ、続けられるんだ。やれるんだ!』っていうね」

銘苅「万人が楽しめるっていう土壌・環境っていうのが、もっと整えばいいんですけどね」

西村「多分、銘苅さんは、今これから伸び盛りの選手とか、これから世界にチャレンジしたいっていう人たちに、たくさんのレールを敷いてくださっていて、それはものすごく大切だと思います。僕の方でできることってなにかなって考えたら、まずハンドボールの認知度を上げて、ハンドボールって生涯スポーツなんだよ、年をとってもできるんだよ! という間口を広げること。入口を広げることも僕はやらないといけないのかなって。おこがましいですけど」

銘苅「いえいえいえ! ホントに西村さんのような方が、そういう活動をしてくださるってことが、もう我々としては、一番ありがたいことです。本当にハンドボールって、おもしろいじゃないですか。知ってほしいじゃないですか」

西村「もう、こんなね、こんなおもしろいスポーツ…」

銘苅「ホントおもしろいですよね」

西村「こんなおもしろいスポーツないと思うんですよ」

銘苅「(笑)やっぱり認知をされていないっていうのが大きいので。だから、今はホントに知ってほしいなって」

西村「子どもたちに教えてると、先ほどもおっしゃいましたように、子どもたちって日本代表の選手の名前を知らなかったりとか、海外でプレーをしている選手を知らなかったりとか、結構多いんですよ。だけど、一応こういう映画とかテレビに出ている人間が行ってハンドボールをやると、『お! ハンドボールやってる人いるんだ!』って、そのお子さんたちを連れてる親御さんたちが結構喜んでくれたりするんですよね。広い意味で僕がハンドボールを続けている理由って、おこがましいですけど、そこにあるのかなと思い続けているんですよね」

銘苅「いや、もう本当にそうだと思います。本当にありがたい限りです」

西村「もうちょっと、わかりやすく世間に広まる体制というのがあってもいいかなと思いますけど」

銘苅「しかし、僕はある意味ハンドボールは全然そんなマイナーだと思ってなくて。メジャーかと言われたらそうでもないけど、じゃあマイナーかと言われたらそうでもなくて。水球などの方が全然競技人口少ないし、フェンシングとかも少ないし、でもフェンシングはオリンピックのメダルを獲ってる。水球はテレビ朝日がポセイドンジャパンとしてやってるし。だからおっしゃたように、売り込み方、見せ方、アプローチの仕方だと、僕思うんですけど」

西村「なでしこジャパンのように勝てば、知名度は上がるわけです。だけど、勝つためには、なにをするかってことじゃないですか。『じゃあ勝ってから考えよう』っていうことじゃダメだと思う。勝つためにはどうなのか、じゃあどうすれば勝てるんだ? ってことを考えていきたい。ハンドボール自体の認知度が上がれば、プレーヤーの意識も変化していくと思います」

銘苅「そうですよね」

西村「そうすると、ハンドボール界全体のモチベーションが上がってくるんじゃないかと思いますよね。そうそう、銘苅さん、ちょっと教えてもらいたいのは、僕、今、小学生を教えてるんですけど、小学生を教えるうえで、非常に大切なことってありますか?」

銘苅「『動きづくり』です。自分の身体をいかにうまく使うかとか、どう人やボールと関わるか、ということをやった方がいいと思うんですよね。『コーディネーショントレーニング』というんですけど」

西村「はい」

銘苅「それプラス、あとは最低限の規律を守るとか、そういう部分は大事にしていますけどね。教える側としては、長いトレーニングをしないようにしてます」

西村「はいはいはいはい!」

銘苅「トレーニング自体は長くてもいいんですよ。でも1つのトレーニングをするのは、5分もやったら長いです。小学生には。『シュート、はい5分』って言ったらもう長い。だから、これをやったら次! 次! 次! ってもうテンポを早めて。できなくてもいいんですよ、子どもが。でもできなくてもおもしろかったら、空き時間に遊んでくれます」

西村「そうですよね」

銘苅「だから、できなくてもいいんですよ。次! 次! 次! って。あとは子どもたちがやるような空気を作ってあげればいいかな、と思います」

西村「ショートタームで」

銘苅「もうバンバンバンバンやって、で、設定を変えたらいくらでもどうにでもなるんで」

西村「それって、子どもだけじゃないですよね。高校とか大学とかにいっしょに練習に行っても、ただひたすら、例えば4対4だとかをひたすら2時間くらいやる高校とかもあるじゃないですか」

銘苅「あー、はい」

西村「反対に本当に1つの練習を5分くらいしかやらない学校もありますよね。集中して、ちゃちゃってやって、次…ってとこもやっぱりありますし、これはもう指導者の考え方もあると思いますし…もう個性ですよね。聞いたところでは、2時間同じ練習をやって、みんなへとへとになってポテンシャル落ちてる時にも自分でモチベーションをキープしてる選手が、やっぱりここぞって時にモノになるっていう考えらしいです。日本人的ですけど」

銘苅「あー、そうですね」

西村「でもそういうの、分からないでもないんですよね」

銘苅「うん、そうですね。その日本人のよさっていう部分と、ヨーロッパ人的なよさ、向こうのシステム、考え方のよさっていうのをうまく融合していければいいんですけどね」

西村「そうですね」

 

ハンガリーでの銘苅選手のプレースタイルや、西村さんが考えるハンドボールの素晴らしさなど、
さらに話は盛り上がっていきます。対談part2はこちらから


カテゴリー: 一般・社会人, 世界
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