2016年3月21日
【リオデジャネイロ・オリンピック世界女子最終予選】
フランス 25(11−7、14−10)17 日本
日本は前半3−2から6連続失点を許したが、ベテラン東濱を投入し、攻撃のリズムを立て直した。大会前に古傷を痛めた東濱は長時間コートに立てない状態ではあったが、チームメイトに「ユニットプレーならできるから」と伝えていた。その言葉どおり、左サイドの松村へのスカイパスを通すなど、停滞していたOFの流れを変えた。リズムを取り戻した日本は、25分に石立のバックパスを受けた松村が左サイドから仕留めて7−8と1点差まで追い上げた。ところが前半残り4分で3連続失点を許し、7−11で前半を折り返した。
後半の入りで、日本は機動力のあるOFが機能した。横嶋(彩)のランニングシュートから始まり、藤井のクロス、カットインなどが決まり、勢いに乗った。守ってもDFラインを下げて、6:0DFでフランスの攻撃を封じた。後半6分には石立のアウト割りから得た7mTを藤井が決めて、11−13と2点差に詰め寄った。
しかしここからフランスが個の強さを発揮する。引いたDFの上からニオンブレがロングを決めると、司令塔のピノーが捕まりながらもポストのランドレにボールをつないだ。守ってもダンチェッテがクロスアタックで日本のパス回しに圧力をかけた。後半15分で12−19。日本はまたしても、課題の後半10分以降で踏ん張れなかった。
それでも日本は最後まで諦めなかった。フランスのキーパーソンであるピノーに対し、石立がハーフマンツーマン気味について、パス回しのリズムを狂わせた。最大10点差をつけられたあとも、藤井のクロス、石立の速攻で最後まで食らいついた。松村、池原の若い両サイドも臆することなくゴールを狙った。
最終スコアは17−25。開催地のフランスに敗れ、1976年以来となるオリンピック出場はならなかった。栗山監督は「25失点は我々の勝負できる範囲。点が取れないと、DFも機能していないように見えてしまうが、DFは悪くなかった。ただ我々の仕掛けに対し、フランスの対応もよかった」と言い、選手全員が力を出し切ったことを称えていた。キャプテンの石野は「フランスの得意な真ん中での2対2を消すなど、DFでいい部分も出せたけど、最後は相手の個の力にやられました」と振り返った。
個のレベルアップは今後も課題になるだろう。しかしその課題も、全員がひとつになって、持てる力を出し切ったからこそ見えた課題だとも言える。アジア予選で韓国に大敗し、世界選手権ではややまとまりを欠いたおりひめジャパンだが、最後に最高の一体感を見せてくれた。【text by 久保弘毅】
【スタート】LW:松村、RW:池原、PV:横嶋(か)、LB:原、RB:藤井、CB:石立、GK:亀谷