2009年6月12日
苦しい時期を乗り越え、2004年あたりから関東1部リーグの大学出身者が加わりはじめて、徐々に戦力を整えていったセントラル自動車。
阿部誠樹前監督(現・総監督)の下、06年2月の実業団チャレンジでは19年ぶりの4強入り(4位)。07年も4位をキープしたその年の夏には、全日本実業団連盟の推せんを受け、34年ぶりに全日本実業団選手権にも復活を果たしました。
昨年の実業団チャレンジは、ランクアップして準優勝。今冬2月の同大会も準優勝したチームの指揮を、阿部前監督から引き継ぐことになった芹沢賢治さん。
チームは着実に上昇カーブを描いていましたが、芹沢さんは決して満足はしていませんでした。
「いい選手が来てくれているけれど、結果につながりきっていない。
充分な結果を出すためには、組織力を上げていかないと。
そのためにも、何か変えていかなければ」
選手として感じていた思いを胸に、まず着手したのが練習スケジュールの改革。
これまでは個々の勤務もあって週末のみだった練習を、火曜、木曜が午後6時半から8時半まで、土曜が午前9時から12時までの週3日に。
日本リーグチームはもちろん、大学、高校と比べても少ないですが「それがまず第一歩」(芹沢さん)でした。
練習時間を増やすとともに、選手たちの職場や私生活面にも目を配り、彼らに「(職場や近隣の人たちから)見られてるんだぞ。普段から意識しろ!!」という言葉も投げかけ、意識の向上を促しています。
ほかにもクリアせねばならない課題はいくつもあります。
芹沢さんと同じく、いや、芹沢さん以上に熱く燃え、高いレベルでハンドボールをしたい、と思う選手もいれば、楽しく和気あいあいとハンドボールができれば充分、と思う選手もいるのが現在のセントラル自動車。
トップレベルから長く遠ざかり、日々の仕事が最優先という環境を思えば、それも無理からぬところです。
また、近い将来に予定されている会社の宮城移転という、環境の激変も待ち受けています。
選手たちばかりでなく、単身赴任を余儀なくされる芹沢さんにも、不安がないと言ったら、ウソになります。
そんな中で、さまざまな選手たちの気持ちをいかに1つにまとめていくか。
このあたりが、技術面以上に芹沢新監督の課題となるでしょう。
困難も待ち受けるでしょうが、決して1人ぼっちの戦いではありません。
6月20日発売の弊誌7月号でご紹介する、チーム顧問で、会社でも取締役の重責を担う吉田實さんが「宮城で新たな仕掛けを」と意欲を見せてくれているのは、心強いかぎりです。
Honda、トヨタ自動車と2チームが日本リーグから撤退した現在、これからの可能性を感じさせてくれるセントラル自動車の動向に、期待、注目しないわけにはいきません。
そんな周囲の雰囲気も感じながら「新しい拠点でスタートするものいいかもしれませんね」と、会社の移転という一大転機も前進の力へ変えてのチャレンジが始まります。
「いい成績を残しますよ」と、さわやかな笑顔で語ってくれた芹沢さん。
若く未来あふれる選手たちとともに、存分に暴れてほしいものです。