2014年11月26日
開幕まで55日となったカタール・ドーハでの第24回世界男子選手権(2015年1月15日~2月1日)が、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)両アジア代表の政治的理由による突然の不参加表明で大揺れとなった。
国際ハンドボール連盟(IHF)は11月21日ヘアツォーゲンアウラッハ(ドイツ)で開いた定例理事会で、両国の棄権を明らかにするとともに代替国としてサウジアラビア(アジア)、アイスランド(ヨーロッパ)を決め発表した。
騒ぎは11月7日、アラブメディアがバーレーン(アジア大陸第1代表)の不参加を伝えたことで始まり、翌8日UAE(同第2代表)の同調が報道され、波紋が一気に広がった。
ペルシャ湾岸諸国の間では、しばしば大小を問わず摩擦が生じており、今回もカタールと両国の政策上の対立が原因となっている。
IHFは、両国に不参加を思いとどまるよう説得を続ける一方、代替の手当を進めた。 11月20日、IHF筋は「不参加取り消し」を“公表”したが、実際には、交渉は不調に終わって、理事会は不参加の両国に各10万スイスフラン(約1240万円)の罰金を科した。資格停止などの処分には至らなかったようだ。
競技・組織委員会(COC。IHF内の専門部会)による代替国の選定は、突然、しかも異例の状況で混乱、ヨーロッパメディアは候補は11ヵ国にも及ぶとし、その中には日本も含まれるとの情報があった。
日本は今年1月の第16回アジア男子選手権(バーレーン)で9位だが、6位以下の中東諸国は繰り上げに応じないと見て、韓国(アジア選手権5位)に次ぐとされたものだ。
11月17日、COCは補充の候補をアジア、ヨーロッパ各1ヵ国と申し合わせ、日本協会には公式の打診はまったくなかった。アジアの順位は韓国、サウジアラビア(アジア選手権6位)で、韓国が選抜されなかった事情は不明だ。
ヨーロッパからの1ヵ国をめぐっては推測、憶測が飛びかったが、ヨーロッパ連盟(EHF)が6月に公表していた補欠順位 1)アイスランド、2)ハンガリー、3)セルビア を尊重、アイスランドに決まった。
この判断にハンガリーが不服を唱え、騒ぎが続く。今年7月8日、IHF理事会(クロアチア)はオセアニア大陸連盟(OHF)の資格を格下げし、4月に世界選手権オセアニア代表として決まっていたオーストラリアの出場を認めず、代わりにドイツを押し込んだ。
その時には、EHFの補欠順位を参考とせず、2013年1月の第23回世界選手権(スペイン)の順位が優先され、アイスランドが激しく抗議していた。ハンガリーは、アジア大陸代表間のトラブルであり、ドイツの扱いと同じよう世界選手権の前回順位が適用されるべきだとしたのだ。IHFはハンガリー協会に説明、了解を得て(11月22日)、ようやくすべてが落ち着いた。
一時は、エジプトもバーレーン、UAEの姿勢を支持、参加を見合わせるのではないかとデンマークメディアが報じていた。
サウジアラビアは本大会1次リーグD組に、アイスランドは同C組に入る。 サウジアラビアの出場は2大会連続7回目。イラン(アジア大陸第3代表)は予定通り参加する。
カタールでは2020年に国際サッカー連盟(FIFA)によるワールドカップ開催が決まっており、ハンドボール界の騒動が続く11月18日には国際陸上競技連盟(IAAF)が2019年の世界選手権開催地にカタールの首都ドーハを決めており、世界のスポーツメディアはハンドボールの動きに注目していた。